2015/07/22

家計簿アプリ、ヤバくね?に関するあれこれ(その2)

前回は、家計簿アプリにパスワードを教えちゃうと何かあったときに補償してもらえないの?ということで預金者保護法なるものを調べてみましたが、結論は、「事が起こってみないとわからない」…。

銀行に「他人にパスワードを教えたってことですよね?そんなの補償できません。」と言われてしまうのか、 「今回の件では他にも多くのお客様が被害に遭われているようです。全額補償されますからご安心ください。」と言ってくれるのか…?

ここまでの調査ではわかりませんでした。


銀行代理業ってなに?

ちょっと見方を変えて、
家計簿アプリ提供業者が何らかの資格?認可?免許??を取得した上で運営していれば、事態は変わるのか?ユーザは救われるのか?
もしくは、「えぇ?無許可でやってんの?しかもスクレーピング?けしからん!」みたいな論調を変えることができるのか?

もうちょい言うと、情報取得の正規ルートであるAPIを使うためには銀行代理業や証券代行業務等の資格を取得するのが大変なので、ログインIDやパスワードを取得し、利用者個人になりすましてネットからスクレイピングで取得しようってわけですよね。

プロマネブログ

銀行代理業、調べてみましょう。

ホーム > 法令・指針等 > 主要行等向けの総合的な監督指針 > VIII 銀行代理業

金融庁

僕の代理となって、銀行(のサイト)に行って情報を取ってきてくれる業

かと思ったら逆でした。

銀行の代理となって、口座開設の勧誘とか手続きをやってあげる業

なんですね。これ。

(1)銀行代理業とは、
銀行のために、
①預金又は定期積金等の受入れを内容とする契約の締結の代理又は媒介、
②資金の貸付け又は手形の割引を内容とする契約の締結の代理又は媒介、
③為替取引を内容とする契約の締結の代理又は媒介
のいずれかを行う営業をいい、
銀行代理業者(銀行代理業再受託者を含む。以下同じ。)とは、
法第52条の36第1項の内閣総理大臣の許可を受けて銀行代理業を営む者をいう。

金融庁 - 主要行等向けの総合的な監督指針

ざっくり言っちゃうと、銀行の代理として、例えば、口座開設の手続き(①)、住宅ローンの手続き(②)、振込手続き(③)のいづれかを行う業者。
これらを行う場合は金融庁の許可を取りなさいよと。

プロマネブログさんがあげていた大和ネクスト銀行と大和証券の例では、大和証券がネクスト銀の代理となることで大和証券がネクスト銀の口座開設を代行できたり、スウィープサービスとかいう自動振替サービスができるのだと思います。
同じようなことを住信SBI銀行とSBI証券がやってますね。(ハイブリッド口座)こちらもSBI証券が住信SBI銀行の代理となる許可を得ています。

さて、問題の家計簿サービス業者です。
銀行代理業は、前述の3つのサービスいずれかを行うことと定義されていますから、家計簿サービス業者がこの許可申請を行っても許可されない。その必要はないと言われることでしょう。3つともやってないですから。

許可されない、許可を得る必要のないケースも明記されていますが、

VIII -3-2-1-1 許可の要否
(3)許可が不要である場合
①顧客のために、預金等の受入れ等を内容とする契約の代理又は媒介を行う者については、銀行代理業の許可は不要である。

金融庁 - 主要行等向けの総合的な監督指針

結局のところ、この法律は家計簿サービス、サービスにパスワードを預けてサービスがユーザの代わりに口座情報を取得する、という意味での「代理」を想定してはいません。

もうひとつ、名前のあがった「証券代行業」

証券代行業というのは、企業(株式会社)の株主名簿の管理だとか、配当金の支払い手続きだとかの事務作業を代行してくれるお仕事です。主に信託銀行やそれ専門の業者がありますが、これは今回の話題には関係なくて、おそらく「証券仲介業」のことが言いたかったのではないかと思います。

で、「証券仲介業」
「証券仲介業」から「金融商品仲介業」に名前変わりました。ちょうどいい引用元が見つからなくてWikipediaですけど、こんな感じ。

金融商品の販売を行う代理店制度を目指して作られた制度であるため、保険等の代理店業と似た性質を持つ有価証券の販売チャネルの一つであり、証券会社等の委託を受ける形で次の業務等を行うことである。

  • 有価証券の売買の媒介
  • 取引所金融市場における有価証券の売買・市場デリバティブ取引または外国市場デリバティブ取引の委託の媒介
  • 有価証券の募集もしくは売出しの取扱いまたは私募の取扱い
  • 投資顧問契約または投資一任契約の締結の媒介

金融商品仲介業(ウィキペディア)

ざっくり言っちゃえば、証券会社の代理として、株買いませんか?ってやるお仕事。
これも違いますね。

他にも、投資運用・代理業とか投資運用業とかありますけど、どれもその目的とは違う「業」。


○○財務局長(家計簿)第○○号

とか

○○財務局長(口座情報取得)第○○号

は、ないんですね。

資格を取るのが大変だからという話もありましたが、マネーフォワードやMoneytreeの会社情報をよく見てください。金融界のエキスパートが名を連ねています。顧客のお金を使い込んじゃったFX業者や「いつかはゆ◯し」のアブラ◯ムでもできた手続きをやらないわけがない。
逆にいうと、サービスに必要な資格があるのにそれを取っていないとなると摘発の対象になります。おそらく上場も考えているであろうこれらの企業がそんなリスクを冒すとも思えません。


「自転車」の免許ってないんですよね。
ママチャリとかそこら辺のガキとは違うんだぜ。ちゃんと試験受けたんだぜ。保険料もちょっと安くなるんだぜ。っていう自転車の免許はない。
だからって、原チャリとかクルマの免許取っても、まっとうな自転車乗りの証にはならないわけで…。


今回の結論、そういう資格、認可、免許はない。


つづく…

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